読書ノート

(本タイトルのフォント青色の書籍が、もう一度読みたい本

2016.2月

「八丁堀育ち」
風野真知雄
朝日文庫

2016.2.11
八丁堀同心の息子が、幼馴染の与力の娘と、好奇心から町内で起きた斬殺事件の真相に近づく。14歳当時の、50年も前の殺されかけた無鉄砲な出来事が語られる。

軽妙洒脱な、青春捕り物帖。

八丁堀住人として、馴染みの地名が頻出し楽しく読めた。
 
「商人」
ねじめ正一
集英社文庫

2016.2.18
2009船橋聖一文学賞受賞作品。父が一代で築き上げた日本橋・伊勢屋にんべんの二代目となった兄は、嫁が17歳の若さで赤ん坊を産み落として亡くなった事、またその翌年に遺児も疱瘡で亡くした事に加え、二代目の重圧で酒に溺れて身体を壊してしまう。三代目となった伊之助は、父の頃の勢いに戻す事を目標に商いに精を出す。当時の鰹節は土佐節か、薩摩節であったが、江戸庶民の為、新たに伊豆節の開発に成功し二代目としての自信を得る。商いは、人の喜ぶ顔を見る為にするものと得心する。

商人の辛抱強さ、心意気が描かれた爽やか時代小説。
「短歌を詠む」
俵万智
岩波新書

2016.2.23
我を主人公をする人生の主観的な感情を、一度客観な網にくぐらせ、自分の普段馴染んでいる言葉で自分の思いを、「リズム」、「響き」を大切に、自由に表現するのが、この俵さんの世界。5,7,5,7,7の31文字の宇宙の何と広い事かと。

短歌を作れるはずもないのだが、作ってみようかとの気にはならない。

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