「花あらし」
阿刀田高
新潮文庫

2016.5.2
標題作を含む、不思議を漂わす12の短篇集。感動もなければ、面白味もなく読み続けるだけの気力がわかない。

「花あらし」死ぬ二日前に「一度会いに来るよ」と、さながら花に吹く風のように短く走り抜けて消えてしまった夫に話。生まれ故郷の桜の色を帯びた白い花の山の中腹に夫の笑顔をみつける。

「迷路」投げ込まれたものを消してしまう古井戸。その井戸に、母ちゃんがストンと落ちていった。 
「鬼女の鱗」
泡坂妻夫
実業之日本社

2016.5.10
標題作を含む時代ミステリー7短編集。凝った作りと云えるのか、まさに作り物と云った感じで3作品でギブアップ。

「目吉の死人形」大店の一人娘と、しがない芸人との恋にまつわる殺人事件。 

「柾木心中」大川で心中と思われる水死人を釣り上げてしまう。 

「鬼女の鱗」辻駕籠で連れて行かれた武家屋敷で、若侍と、十七、八の眼の醒めるような腰元の右腿に比翼紋を彫りあげる。 
「峠越え」
講談社
伊藤潤

2016.5.28
「衆に秀でた者は、己を知ろうとせぬ。凡庸な者ほど己を知ろうとする」が、家康こそが天下人たりえた理由。桶狭間、姉川、三方ヶ原、長篠といった生き残りを賭けた激しい戦を生き抜いてきた家康の物語。

家康の戒め。「人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くが如し。不自由を常と思えば不足なし。心に望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え。勝つ事ばかり知りて、負くることを知らざれば、害その身に至る。己を責めて人を責むるな。及ばざるは過ぎたるに勝れり。」

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(本タイトルのフォント青色の書籍が、もう一度読みたい本

2016.5月